中京大学 先端共同研究機構

Institute for Advanced Studies in Artificial Intelligence

「人の知をかたちに」人工知能研究の推進と普及

― 第1期(2018-2020年度) ―

共同研究プロジェクト

AIによる暗黙知のセンシングとデジタル化
 本共同研究プロジェクトでは、主として生産工程を想定し、外観検査や組み立て作業を担当する作業者が持っている暗黙知の技を、画像センシング技術及びAI技術を利用して自動抽出し、デジタル化し、さらに分析して新たな知見を得ることが目的です。
 具体的には、作業中の手、視線、体、その他の動作状況をカメラやレンジファインダを用いて撮影(2D,3Dセンシング,及び処理)し、画像処理アルゴリズムによってデジタル化します。
 また、作業者が言語化できる範囲でのカン・コツをデータ化し、これらのデータを分析することによって、これまでビジュアル化されてこなかった作業者に内在する暗黙知に関する知見が得られると考えられます。
 以上、本共同研究プロジェクトの達成により、スキルフルな作業者がもつ技術やノウハウを、後世に残すことができると考えられます。
竹炭プロジェクト
 生物由来炭素化合物は、植物の自己最適モデリングの結果得られた組織構造を継承しています。
 これを人工的に再現することは非常に難しいですが、炭素化は植物組織の精妙な構造を簡単な処理で手に入れ、安定的に利用するための有効な手段です。
 このプロジェクトでは、竹炭を環境中の金属イオンの回収や分離に役立てようとしています。
 たとえば、道管等を由来とする細孔は金属イオンの吸着に大きく寄与しますが、今までの研究で金属イオンの種類によっては炭の表面に残存する酸性官能基への化学吸着の役割が大きいことが分かりました。
 たとえば、セシウムは、400℃程度の低温で炭素化することであえて酸性官能基を燃焼させずに残した、“未熟炭素化竹炭”への吸着効果が高いのです。
 本プロジェクトでは生物由来炭素化合物を安心・安全な環境の構築に役立てるとともに、その構造を学ぶことで、自己組織化する新しい知能材料を設計するための知見にしたいと考えています。
 以上、本共同研究プロジェクトの達成により、スキルフルな作業者がもつ技術やノウハウを、後世に残すことができると考えられます。
大規模数値シミュレーションとHPCに関する研究
 HPC(高性能計算)により原子分子の電子状態を研究しています。
 相対論効果をディラック方程式で考慮し、これまでにCeO、EuF、GdF、DyF、DyClなどのランタノイド化合物を扱ってきました。
 数値計算ライブラリの開発も行っています。新開発の4倍精度固有値問題プログラム(MIPOWQ)では、図のように8並列で8倍近い性能が出ます。
デジタルヒューマニティーズプロジェクト
 行政機関などが保管する戦前期の公文書は古い字体を用いた手書き文書であり、解読が容易ではありません。歴史史料でもある近代公文書を広く利用可能とするために、本プロジェクトでは、本学社会科学研究所および公立はこだて未来大学と共同で、近代公文書自動解読システムの開発を進めています。
 近代公文書としては唯一体系的に残されている台湾総督府文書を題材に、近代公文書に現れる手書き文字の収集や、高水準の手書き文書認識技術の開発を行っています。
五輪史料プロジェクト
 五輪史料プロジェクトは、本学の貴重な資料(史料)であるオリンピック関連史料のデジタル処理を目的としたスポーツ科学部との共同研究です。
 デジタル処理の対象はオリンピック関連資産および関連文書です。
 資産・物品としてはメダルなどを扱い、新たな技術によるそれらの展示方法の開発や分析を目的としています。
 一方、文書として第5代IOC委員長 ブランデージ氏が残した文書群を扱い、新事実発見のための解析を目的としています。
メディア工学技術の社会応用
 我々の研究グループでは、ICTを活用したメディア工学技術の社会応用を目的とした研究を進めています。
 モノづくりの初等教育用の教材コンテンツの設計開発では、対象を小学校の中・高学年程度の児童とし、電気・電子回路の基本的な知識を身につけながら、様々な機能やデザイン性をもつモノづくりの流れと魅力を知ることを目的としています。
 進化論的学習論によるオーセンティックなモノ造りを通した視野と志のグローバルな拡張
 グローバルに資源を依存する日常と、狭い視野との間の大きなギャップを埋め、グローバルな視野と志を育てる学習環境を構築しました。
 60カ国以上による協同制作を行っているWorld Museum Project、及び地域での愛知ワークショップギャザリングの成果を基盤とし、理論面では構築的マインドセット理論にアージ理論を導入し、実践面ではICTによる制作にオーセンティックな実体験を加え、地域資源を活かしたモノ作りの活動を開発しました。

個人研究プロジェクト

  • 名古屋テレビ・AI投資案件
  • 月面歩行ロボット研究(@東大先端研)
  • 工学技術を活用したヘルスプロモーションに関する研究
  • ボンドグラフによる人体の動作に関する研究
  • 人型サッカーロボット用モーションの高精度化
  • 画像処理の産業応用への研究
  • 3次元表面粗さ用ローパスフィルタの開発
  • 生物模倣製造プロセスの開発
  • AIロボット・知的センシング研究
  • 網膜視覚情報処理機能の解明に関する研究
  • 人代替の外観検査・目視検査自動化技術の体系会
  • KAKENデータベースを用いた研究分野間の類似度調査
  • 人と共生するロボットのためのビジョンシステムに関する研究
  • ロボット技術要素に関する研究・開発
  • 高速6DoF姿勢推定に関する研究
  • 電波を用いた位置推定法の研究
  • 科学啓蒙活動実施による地域への学技術の理解増進
  • Internal Representation in Neural Networks
  • 粒子群最適化を分岐解析手法の確立
  • 非線形関数を用いたルータの輻輳制御
  • 太陽電池を接続したコンバータ回路の解析
  • 知的情報処理に基づく高能率画像符号化方式の開発
  • 知的情報処理に基づく超解像方式の開発
  • 網膜型情報処理による画像の圧縮伝送技術の開発
  • 階層型可逆符号化方式に関する研究
  • 高並列計算の教育研究
  • IoT技術を用いたサッカープレースキックの研究
  • micro:bitを用いた初等プログラミング教育
  • 知的インタフェース
  • 知識データベース開発に関する研究
  • 認知科学の拡張型アーカイブ作成
  • ハプティクスインターフェイス開発および評価方法の検討
  • ネットワーク環境における顔画像メディアの実装
  • 研究室運営支援ICT環境に関する研究
  • 情報表現の理解・利用・生成の支援に関する認知科学的研究
  • 音楽理論を利用した音楽電子透かし法に関する研究
  • 医用画像診断支援プロジェクト
  • Magic/logic/Music
  • 持続可能な発展のためのICTを活用した異文化交流活動ラーニングサイクル
  • スポーツ競技における個人・集団の特徴的パターン検出に関する研究
  • 1990年代メディアアート作品の記録と保存
  • アプリを活用した発達障害青年成人の生活支援
  • 3次元地震活動データの可視化に関する研究
  • スポーツによる脳・身体の発達
  • パラレルワイヤ駆動ロボットの実用化に向けた諸問題の解決
  • 筋骨格生物における運動生成原理のロボティクスへの転移
  • 関節の粘弾性を自動調節する受動歩行ロボットの開発

事業一覧

ロボカップ参戦支援事業
 人工知能高等研究所の共同事業プロジェクトの一つに「ロボカップ・ジャパンオープンSSL-Hリーグへの出場支援」があります。
 これは、研究員および中京大学学生がつくるチームのロボカップ参戦を支援する事業です。
 ロボカップ ジャパンオープン2019において、チームChukyo RoboStarsがサッカー小型リーグ・ヒト型(SSL-Hリーグ)で優勝、前年に続き2連覇を果たしました。
名古屋市科学館連携講座
 2013年9月、情報科学分野の教育・研究活動を連携して実施するため、人工知能高等研究所と名古屋市科学館は相互協力協定を結びました。この協定に基づき、2013年より小学生向けの連携講座が開かれています。
公開講座ソフトサイエンスシリーズ
 ソフトサイエンスシリーズは中京大学が展開する公開講座の一つで、人工知能高等研究所と名古屋市科学館が主催しています。1991年以降41回の開催を重ね、国内外の著名な研究者・アーティストが講演しています。
IASAI News
 研究成果や運営状況を公開するために、機関誌IASAI Newsを発行しています。